心を込めるということ
先日、県北の方に出かけてきました。
その日は雨で肌寒く、熱いソバが食べたくなって駅前の小さな食堂に入りました。
ガラガラとガラス戸を開けるタイプの昔ながらの店でした。
駅を利用する人が少ないせいか、お客さんは私だけでした。
「いらっしゃいませ~」と落ち着いた感じの声でおかみさんが迎えてくれました。
店の中には、観葉植物が置かれ、4つあるテーブルにはそれぞれ一輪挿しの花が活けてありました。
観葉植物の葉も一輪挿しの花も、みずみずしく色鮮やかに生き生きとしていました。
テーブルもイスも整然としていて、チリひとつなく掃除が行き届いていました。
店全体に清浄な空気が流れているようでとても気持ちが良かったです。
どれもこれもみんな、ここの主人が大切に扱ってきたんだということが伝わってきます。
きっと、長い年月に渡り、店を愛しひとつひとつに心をかけてきたんだろうなと思いました。
初めて入った店なのに、心が安らぐというか身が落ち着くというか
とにかくホッとしました。
そして、ソバのおいしかったこと!!
電車の発車まであまり時間がなかったので、かけソバを注文したんですよ。
つゆの味がまろやかで、胃にじんわりと沁みてきて格別でした。
丁寧に作った味というのはこういう味を言うんだと思いました。
とても幸せな気分になって、心身満たされて店を出ました。
物でもなんでも、心をかけると、その「心」がものに込められるんでしょうね。
子どもの頃、母の手作りのおやつを食べていた私
母がいろいろ工夫して作っているのを見て分かっていました。
母が私たち子どものためだけに作ってくれたおやつです。
だから、私は手作りのおやつが大好きでした。
でも、心を込めてしてきたことを見ていなくても、モノに「心」はちゃ~んと映る。
そして、モノに反映された「心」に、そのモノを見た人の心は反応する。
そうして目には見えないけれども、心と心が繋がって温かな空間が広がっていく。
そうやって見ず知らずの場所でも癒されるのでしょう。
「心」は見えないけれどモノに映る
心を込めたものは人を幸せにするんだと改めて思いました。