踏みとどまるのも「愛」
ずっとずっと以前に出会った、ある女性のお話です。
相手に強烈に惹かれながらも「不倫」しなかったのはなぜなのか?
彼女の話を聞いたとき泣けて泣けて仕方がなかったことを覚えています。
彼女は歌が好きで趣味で合唱サークルに入りました。
そこで、ある男性に出会った時、まるで全身に電流が走ったようだったそうです。
「ああ、この人こそ運命の人だ!」と直感したのだそうです。
実は彼もそのとき同じことを感じたのだそうです。
でも、二人は、既婚でそれぞれ子供がいました。
「この人に惹かれてはいけない」と思っても、惹かれていく自分をどうしようもなかったそうです。
彼も彼女も、周囲のすすめで見合い結婚し、幸せな家庭を築いていたのです。
ふたりとも、自分の家族を大切にしていました。
お互いの配偶者に何の不満もありませんでした。
特に、彼女は3人の子供を育てていたし、子どもと自分のために毎日頑張っている夫を尊敬していました。
彼女は、夫への思いと彼への気持との板挟みで本当に苦しみました。
彼と彼女は、お互いにかけがえのない人だとわかっていました。
だから、かけがえのない人の人生を大切にすることを選んだのです。
家庭を捨てることは多くの不幸を生む
それは結局相手を苦しめてしまうことだ
相手の幸せを守ることを心に決め、彼は転勤を希望して離れていきました。
ふたりは最後までサークル仲間として付き合い、一線を越えることはありませんでした。
彼女いわく
もし、一線を越えていたら何もかも捨てていただろう。
本当に離れられなかっただろうと思う。
私はこの人生で彼に出会えただけで十分だ。
この人生を選んでよかったと。
そういう愛のかたちもある。
好きだという気持ちのままに突き進むだけが「愛」ではない
感情のままに燃え上がるだけが「愛」ではない
相手の人生を大切に思い
踏みとどまるのも「愛」なのだ
「生涯、彼に会うことはないでしょう。
ふたりでそう心に決めましたから。」
彼女は凛として言いました。
お互いを深く愛すればこそ「不倫」にしてはいけない
かけがえのない人を「不倫相手」に落としてはいけないという
愛の決断なのだと思います。